2008.05.02
![]() | “文学少女”と神に臨む作家 上 (ファミ通文庫 の 2-6-7) (2008/04/28) 野村 美月 商品詳細を見る |
とうとう最終章が開幕しましたね、文学少女シリーズとそろそろお別れかと思うと悲しくなります。
それにしても今巻の竹岡美穂さんは気合が入っていらっしゃる。表紙の話です。
文学少女シリーズとは野村美月さんによるライトノベルで、一応はミステリーです。
謎は主に登場人物の行動・動機に限られるので、ミステリーと言っては語弊がありますが。
今のところ全部で7冊出版されています。
このシリーズの最も大きな特徴は、それぞれの話に小説が登場し、その小説の登場人物や作者の行動・心情をなぞるような事件が起きるという所にあります。
以下、引用された小説の一覧。
1、“文学少女”と死にたがりの道化:人間失格(太宰治)
2、“文学少女”と飢え渇く幽霊:嵐が丘(エミリー・ブロンテ)
3、“文学少女”と繋がれた愚者:友情(武者小路実篤)
4、“文学少女”と穢名の天使:オペラ座の怪人(ガストン・ルルー)
5、“文学少女”と慟哭の巡礼者:銀河鉄道の夜(宮沢賢治)
6、“文学少女”と月花を孕く水妖:夜叉ヶ池,草迷宮,外科室(泉鏡花)
どれも名作ばかりですね。
読んだ事ない小説が出てくると悔しいです。
それで、7巻、『“文学少女”と神に臨む作家(上)』に出てくる小説は『狭き門』です。
何とジッドです。
分かった瞬間声を出してしまいました。素晴らしい。
自分はこの小説が『カフカ短篇(寓話)集』並に好きです。
良く分かりませんね。もしかすると最も好きな小説かもしれません。
それに加えて、ナイーブで内向的な主人公・心葉の独白が頁を繰る手を休めません。
面白いだけでなく、他の文学小説にリンクしているので、ライトノベルばっかり読む人に薦めたいものです。
純文学を知っているとニヤリとできるネタも多いです。
“文学少女”の遠子先輩は、本を料理に例えるのですが、それがまた的確です。ニヤニヤ止まりません。
他の本に繋がる、何だかとってもいい感じの本です。おすすめです。
内容は詳しく語りませんが、だいたい今までと同じような話です。
違う点はとうとう遠子先輩も事件の当事者となる所でしょうか。
話の流れ的に創作論にも手を広げているような気がします。
また「選択」もキーワードの一つです。
小説の途中で芥川くんが言う二つの道が、どことなくO・ヘンリー『運命の小道』を彷彿とさせました。
最後に『狭き門』について。
現在は競争社会の例えで使われることが多いですが、もとは新約聖書に使われた言葉でした。
「狭き門より入れ、滅にいたる門は大きく、その路は廣く、之より入る者おほし。」
以前感想を書いた『神曲』で出てきた地獄の門、そして煉獄山に存在していた門とも内容が被りますね。
地獄の門=滅にいたる門、煉獄の門=狭き門と読み替えることが可能です。
堕落するのは簡単だが天国へ行くのは難しい、位に考えておきましょう。本当はもっと深いと思いますが。
ちなみに7巻では狭き門を作家に至る道として定義していました。
最終巻で狭き門はどのような扱われ方をするのでしょうか。期待です。
金子みすず。
『赤毛のアン』。
国木田独歩。
つい読み飛ばしちゃいますが、小道具として出てくる作家・小説にも注目です。
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